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人口減時代の人材力強化。多様性生かす雇用体系に

慶応義塾大学教授 樋口 美雄氏

ポイント:
  • 拘束強い画一的な「就社」の仕組みは限界
  • フィールド別採用は学生の就業意識変える
  • 国際競争にらんだ教育、人事制度が必要

景気の低迷や日本経済の将来への不安から、企業は新卒採用を削減するようになった。その一方で、外国人の高度人材の活用を進めようとする企業は急増している。法務省によると、「人文知識・国際業務」を担う非永住外国人在留者は2009年までの5年間で46%増え、「技術」では約2.2倍となった。
一般に企業が高度外国人人材を採用するルートは、大きく分けて、国内大学などの留学生からの新卒採用、海外などからの新卒採用、キャリア採用の3つがある。昨年来開催した財務省財務総合政策研究所の「人材の育成・活用に関する研究会」でも、日本の採用慣行などの人材の育成と活用に関わる問題を検討してきたが、企業からは今後いずれのルートも拡充し、高度外国人材を増やしていく予定だとの声が数多く寄せられた。
業務の国際化や知識産業化の進展を考慮すれば、高度外国人材に対するニーズの拡大は当然の動きであるが、このことは入り口の変更だけを求めるものではない。国籍や男女の違いに関係なく優秀な人材を確保する動きは、入社後の育成、処遇、雇用管理にも大きな変革を求め、同時に大学教育にも影響を及ぼす。

個人のキャリア重視:高度専門人材の活用カギ

従来、我が国の就職活動は日本人学生の枠内での椅子取りでの人材獲得競争であり、仕事の内容を明示し個人の経験や適性に基づき採用者を決めるよりも、企業規模や業界の勢力図を重視した応募者から潜在的総合力で決める人数合わせの色彩が濃かった。
しかしこの枠が解き放たれつつある現在、応募者は国籍や男女の違いとは無関係の広い競争が求められ、大学は海外の大学との留学生獲得や人材育成競争を意識せざるを得ない。企業も海外の企業との人材獲得競争に直面することになり、多様な価値観や経験を持つ優秀な人材を引き付ける処遇や人事制度、生活環境を用意する必要性が増した。人材のグローバル競争は日本の持つ長所を生かしつつ、一方で多様な価値観と経験を持つ人材の能力を高め、それを発揮できる改革を大学にも企業にも求めるようになった。
企業の人材活用も大きな変革が求められる。これまで日本企業は、長期雇用を前提に、社員の公平性を重視し、画一的な雇用管理を軸に能力を開発し処遇してきた。
日本企業では、他者との差別化を図るため、ときには自会計や経営情報、設計、製造のITシステムに見られるように、汎用性のない企業固有の技能を方法論が強調される面がある。企業固有の技能を身につけるには社内でのOJTが不可欠であるとされる半面、逆に過度にそれに頼るあまり、職種特殊専門性が軽視され、結果として非横断的な企業特殊性を体現した人材を生み出している。
大学や企業はダイバシティに適応する人材を育て能力を発揮できるよう、日本人のみを対象とする育成・活用の志向から脱却し、国際化に対応した教育やフィールド別採用のような人事、処遇、雇用管理の制度構築を一層進める必要がある。産官学それぞれにおいて、高度専門人材が相応に活用されていないことが日本の弱さになっている。
平時、有事のいずれにおいても社会基盤となるのはプロフェッショナルな人材の知恵であり、特定分野の適性判断に裏打ちされた短期、長期の指針が人の判断を促し社会をけん引する。こうした人材をどうすればもっとうまく育て活躍の場を提供できるか、日本社会全体が問われている。